2019年6月21日金曜日

シャトレ侯爵夫人

シャトレ侯爵夫人、エミリー・デュ・シャトレという女性をご存じだろうか?
普通の西洋史で有名かどうかは知りませんが、科学史、特に女性科学史には絶対に出てくる超有名人です。
18世紀前半のフランスを生きた彼女は、様々な数学や物理の論文を発表し、女性科学者の先駆けと呼ばれています。

人は知識欲があり、この世の真理を知りたいと思うものです。しかし、今の世に中であっても、それは男性のものだと思っている人が少なくありません。
過去の科学史を紐解くと、女性がどれほど軽く扱われていたか、読むだけで心が痛くなるほどです。
研究のために偽装結婚して国外へ逃げたり、男性名で論文を発表したり、共同研究者であるのにノーベル賞から外されたりと、研究するだけでも大変な思いをしていたのです。

革命以前のフランスで、侯爵夫人という身分のエミリーがなぜ論文を発表できたのか?
私が読んだ本には、当時男性は知力より武力を重要視していて、科学論文を出版することも貴族の趣味との認識だったのではないかと書いてありました。

私が創作する時、登場人物がどこにプライドを持っているかを重要視します。
制度や名前など過去の事例を無視することが多くて、そこを指摘されたりしますが、違う宗教を信じる異世界の制度が過去の地球と同じという方が違和感あります。

でも、人の思いはそれほど変わらないと思います。
武力にプライドを持っている世界では、女性が知力に優れていても男性は攻撃しない。
それは普遍的なのでしょう。
そして、平和ではない世界では武力を重要視するのも普通だと思うのです。

そんな異世界人たちの心の動きを想像しながらお話を作っていくのは本当に楽しいものです。
はまったら沼のように抜け出せなくなりますよね。

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